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『猫田のことが気になって仕方ない。』/大詩りえ<全10巻>感想

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ご存知(?)、ヒーローの頭部が猫という前衛的な設定が印象的すぎる、

りぼんの作品『猫田のことが気になって仕方ない。』/大詩りえ。

 

連載はとっくに終わっているのですが、最近やっと読み終わりました。

 

 

言うまでもなく、名作中の名作です。

 

そこで、個人的な感想をつらつらと書きたいと思います。

 

『猫田のことが気になって仕方ない。』の魅力・感想

頭部が猫なのにイケメン

当然ながら、これがこの作品の最大の特徴であり、魅力です。

 

素顔がわからないだけでなく、表情すらわからない、、

 

でも、中身は王道のヒーローなのです。

 

「ヒロインを助けてくれる」「セリフや仕草がいちいちカッコいい」

などヒーロー要素盛り盛り。

 

 

また、猫田には母親がおらず、家事も妹の世話もほぼ全てやっているという実はかなりの苦労人であることが後から判明したわけですが、

 

それについて猫田が「辛い」とか「苦しい」とか思っている描写は一切ありませんでした。(番外編では少しありました)

 

最近の漫画は「ヒーローも情けないところをさらけ出す」パターンがわりと多い気がしたので、猫田がそういう弱い面を一切出さない、というのが新鮮でした。

 

本編ではず〜っと「安定感」を醸し出し、いついかなるときも未希子を支えてくれていた猫田だったので、

 

私としてはヒーローを通り越して完全にお父さんな感覚でした。

 

しかし最終巻の番外編の人田はとても「少年」らしく、

 

「不安定」な部分や、「未希子に支えられていた」というような描写があって、

 

「ああ、猫田もちゃんと子供だったのね」と心底安心したものです。

 

 

コメディだけどシリアスな一面もある

猫田が猫顔に見えていた理由が暗い

 

未希子は幼いときに遊んだカナちゃんのことが大好きでした。

 

でもそれ以来カナちゃんが公園に来てくれることはなく、

未希子の心は大きく傷ついてしまいました。

 

「『会いたい』『大切な友達』だと思っていたのは自分だけなのかもしれない」

という恐怖心から、

 

未希子は猫田と再会したときに顔が見えなくなっていました。

 

しかも、カナちゃんとのことが理由で(もちろん転勤族であることも原因ですが)

「友だち」とは何なのかがよくわからない。

 

というのが私の解釈ですが、

この説明だけ見ると、なんて暗い設定なんだと感じてしまいます。

 

でも、未希子の元気(かつちょっと変)な性格のおかげでそのへんは中和されているし、

このような辛い過去のことを前面に押し出されなかったのもまた良かったなあと思います。

 

「あのとき、わたしカナちゃんが来てくれなくてすっごい傷ついたんだからっ」

みたいに言われたらちょっとシラけていた気がするので。

 

兎にも角にも、猫顔に見えていた理由は誰にも予想できない内容で、大詩先生の想像力はすごいと思いました。

 

猫田の素顔について

 

人田についての他の読者さんの感想がとても気になります。

 

私的には、まず

 

女子か。

という感想でした。

 

でも期待外れとかこんなの嫌だとかいう感情は皆無で、大満足でした!

満足度120%。

 

というのも、最終話までに「猫田似の妹」と「カナちゃん」の顔がすでに思いっきり描かれていたので、

なんとなく想像できましたよね。

 

でも、想像はできるものの、真の顔を描けるのはやっぱり作者の大詩先生だけなので、

ちゃんと最終回で猫田の顔を描いてくださったことにただただ感謝です。

 

「猫田の素顔を見る」のが今作品の読者のミッション(?)だったので、終わりに近づくにつれ

 

「どんな顔であろうと、猫田は猫田。カッコいいヒーローなんだ」

という気持ちと、

「どんな顔であろうと、それは人田であって、読者にとっての「猫田」ではない」

 

という気持ちが交錯していました。

 

最終話の1ページ丸々使った告白シーンをイケメン人田にする選択肢もあったのかもしれないけど、

読者が10巻ぶん慣れ親しんできたのは「猫顔の猫田」なので、

 

あのシーンはやっぱりアレ(猫顔)が最適だったと思います。

 

猫顔のまま照れながらバーンと告白するのが、うれしいやらおもしろいやら感動やらで

 

私の目からは涙がダラダラ流れてました。

 

泣けた場面

 

上述の通り、最終話はとにかく泣けました。

 

その他にも、いくつか泣けた場面があります。

 

みっきーの「やだ!」

 

中学に入ってから、また転勤するかもしれないとママに告げられたときの未希子の反応。

 

未希子はとてもエネルギーに満ち溢れた女の子ですが、そういえばこういう感情表現はそれまでにはなかったなと思いました。

 

物語の当初は「どうせまた転校するんだから深入りしない」というスタンスの

超冷めた子供だったことを思い出して、

 

ここで未希子が「だだをこねる普通の子供」らしくなったことにジーンときました。

 

以前のようにクールに割り切ることなどできないほど、今は大切な人がいっぱいいるんだということに、

未希子ママといっしょに「よかったね〜」と成長を喜ぶ気持ちになりました。

 

入江がフラれたシーン

 

なんだかんだいいヤツでしたよね、入江。

 

中学入ってから、イケメン度が増してましたし。

 

他にかわいい子いくらでもゲットできるだろうに、

未希子のことを「あんな子なかなかいない」と魅力を感じていることに

 

わかってるな、おまえ

と微笑ましく見てました(上から目線)。

 

だから、未希子が「やっぱり猫田が一番大事」と一生懸命自分の気持ちを話して入江をフって、

「ありがとうね!」と叫んだときに

入江といっしょに目がウルウルしました。

 

入江はぐっとこらえてたけど、

読んでる私は完全に泣いてました。(どんだけ泣いてるんだ)

 

 

まとめ: ありがとう猫田!

無料配信で猫田の1・2巻を読んで、

あかん!おもしろすぎる!

と思ったのはなんと一年も前。

 

すぐに買いたかったんですが、10冊買うとなると5000円近く出費することになり・・・

 

なかなか、漫画にそこまで使う経済的な余裕がなく。

でも、猫田は絶対古本で買いたくなかったんです。作家さんにお金がきちんと入る形で買いたかった。

 

なのでおサイフに余裕ができるまで我慢することにしました。

 

猫田の謎(素顔や理由)をちゃんと自分の目で確かめたかったので、

ネタバレをうっかり見ないために、ネットで「猫田」を検索しないようにしたりして・・・

 

そしてようやく10冊買える時がやってきて、1年越しの夢を叶えた気分です!(大げさ)

 

全巻一気読みして、超幸せな気分です。

 

私はもう良い大人ですし、普段の主戦場(?)はクッキーなので、長いことりぼんの漫画は全く読んでいませんでした。

 

元々小学生の時はりぼんっ子でしたが、中学に入って自然に卒業し、高校で一度友達が読んでいるのを見せてもらったのですが、

 

やっぱなんか違うな

と思って以来、完全に食わず嫌いでした。

 

猫田も最初は全然読む気がなく、マーガレットブックストアで無料になっているのを偶然見つけたときも、スル〜だったんです。

 

でも、あるときものすごく気分が落ち込んでいて・・・(理由は忘れた)

 

どんよりしながら一人で新幹線に乗っている時に(なぜ新幹線に乗っていたのかも忘れた)

 

ふと、猫田のことを思い出して、

 

タイトル的に絶対ふざけてる!ふざけてる漫画が読みたい!

という謎の衝動にかられ無料分を読んでみることに。

 

それで1巻てものすごく笑えるシーンが多いじゃないですか。

新幹線の中で大変な思いをしました。(笑いをこらえるのに)

 

結果、とっても明るい気分になれました。

 

「大人でもりぼんの漫画を楽しめるかもしれない」と思わせてくれたし、暗い気分を救ってくれた作品でもあります。

 

いろいろと思い出深いです。

本当にオススメ。

 

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